nmbd

Samba 2.0.7

23 Oct 1998 (JP-1999/12/25)

NAME

nmbd - クライアントへの NetBIOS ネームサーバのサポート機能

SYNOPSIS

nmbd [-D] [-a] [-o] [-h] [-V] [-H lmhosts file] [-d debuglevel] [-l log file basename] [-n primary NetBIOS name] [-p port number] [-s configuration file]

DESCRIPTION

このプログラムは Samba システム全体の一部である。

nmbd は、Windows95/98、Windows NT と LanManager クライアントなどの、 SMB/CIFS クライアントによって作成される NetBIOS ネームサービスの リクエストを認識し、応答することができるサーバである。 また、Windows の "ネットワークコンピュータ" で表示されるコンピュータの一覧 を作り出すブラウジングのプロトコルにも対応している。

SMB/CIFS クライアントは、始動時に SMB/CIFS サーバを探そうとする。 つまり、指定されたサーバがどの IP アドレスを使用しているかを知ろうとする。

サービスの中でもとりわけ nmbd は、そのようなリクエストを監視し、 もしも、自分の NetBIOS 名が指定されたなら、動作しているホストの IP アドレスを 応答する。その「自分の NetBIOS 名」は、既定値では動作しているホスト のプライマリ DNS 名であるが、これは -n オプション によって変更可能である(下記の OPTIONS を参照)。 このように、nmbd は、自分の名前(復数の場合もある)を、 ブロードキャストの問い合わせに対して返答する。nmbd が返す追加の名前を、 smb.conf(5) 構成ファイル中にパラメータ経由で 設定することができる。

また、nmbd は、 WINS (Windows Internet Name Service) サーバとしても 利用できる。基本的にこれが意味することは、WINS データベースサーバとして、 受け取った名前登録要求からデータベースを構築でき、またクライアントから の名前の問い合わせに応答することができるということである。

さらに、nmbd は、WINS proxy として動作でき、WINS サーバに対して WINS プロトコルで交信することができないクライアントからの、ブロードキャスト 要求を中継することができる。

OPTIONS

-D
指定されると、このパラメータは、nmbd をデーモンとして 動作するようにする。すなわち、それ自身を分離してバックグラウンドで動作し、 適切なポートのリクエストを処理する。既定では、nmbd は、 デーモンとして動作しない。推奨しないが、nmbd は inetd からの メタ daemon としても動作可能である。

-a
このパラメータが指定されると、 ログ・ファイルには新しい接続それぞれに対して追加書き込みされる。 これが既定である。

-o
もしもこのパラメータが指定されると、ログファイルは オープンするときに上書きされる。既定値では、ログファイルは追加書き込み される。

-h
nmbd のヘルプ情報(使い方)を表示する。

-V
nmbd のバージョン番号を表示する。

-H filename
NetBIOS lmhosts ファイルの指定

lmhosts ファイルは、NetBIOS 名と IP アドレスの組で構成されるリストである。 これは、nmbd サーバによってロードされ、 任意の NetBIOS 名を解決する問い合わせのために、 smb.conf (5) 中で記述されている、 name resolve order 名前解決メカニズムに従って、サーバが必要とする NetBIOS 名の 問い合わせを解決するために使われる。 このファイルの内容は、nmbd が、任意の名前問い合わせに応答する時には 決して使われないことに注意。このファイルに行を追加すると、このホスト からの NetBIOS 解決にのみ影響する。

このファイルへの既定値のパス名は、Samba をビルドする過程でバイナリに 埋め込まれる。共通の既定値は、/usr/local/samba/lib/lmhosts/usr/samba/lib/lmhosts または /etc/lmhosts である。このファイルの 内容の詳細は、lmhosts (5) マニュアルページに ある。

-d debuglevel
0 から 10 までの数値で、デバッグレベルを指定する。

もしもパラメータがセットされていなければ、既定値は 0 である。

この値を大きくすると、サーバの動作状況についてをログファイルに、より 詳細に記録する。レベル 0 では、致命的なエラーと重要な警告のみがログに 記録される。レベル 1 は通常動作させるには適切なレベルであり、実行された 操作についてのごくわずかの情報のみを生成する。

レベルが 1 より大きいと、非常に大量のログデータが生成されるので、問題を 調査する時にのみ使われるべきである。レベル 3 は開発者のみが使うように デザインされ、まったく暗号のような、莫大なデータが生成される。

ここでパラメータを指定することは、smb.conf(5) ファイル中の log level パラメータを 上書きすることに注意。

-l logfile
-l パラメータは、動作中の nmbd サーバからの 動作結果を記録するファイルのパス名と、拡張子を除いた部分のファイル名 を指定する。 実際の記録ファイル名は、指定された基本名に拡張子 ".nmb" を付け加えられる。 たとえば指定された名前が "log" ならば、ファイル log.nmb がデバッグ 情報を保持する。

既定の記録ファイルは、Samba をビルドする過程でバイナリに 埋め込まれる。 一般的な既定値は /usr/local/samba/var/log.nmb/usr/samba/var/log.nmb または /var/log/log.nmb である。

-n 基本の NetBIOS名
このオプションでは Samba 自身が使用する NetBIOS名を変更することができる。これは、smb.conf ファイル中に NetBIOS name パラメータを 設定するのと同じであるが、smb.conf ファイルの 設定を上書きする。

-p UDP ポート番号
UDP ポート番号 は正の整数値である。

このオプションは、nmbd が名前問い合わせに返答する、 既定値の UDP ポート番号 (通常は 137) を変更する。あなたがどんな 場面でも助けを必要としない専門家でないならば、このオプションを 使用してはならない!

-s 構成ファイル
既定の構成ファイルはビルド時に設定され、 一般的には /usr/local/samba/lib/smb.conf であるが、これは Samba が autoconfigure されるときに変更することができる。

指定されたファイルはサーバが必要とする構成の詳細を含んでいる。 より詳細な情報は smb.conf (5) を参照のこと。

FILES

/etc/inetd.conf

もしもサーバーが inetd メタデーモン経由で動作しているならば、このファイルは メタデーモンのための適切な起動情報を含んでいなければならない。

/etc/rc

(またはシステムが使う初期化スクリプト)

もしも、サーバがデーモンとして起動するならば、このファイルはサーバのための、 適切なスタートアップ手順を含む必要がある。

/usr/local/samba/lib/smb.conf

これは、smb.conf の既定値の位置である。 その他の標準的なこのファイルのインストール位置は、 /usr/samba/lib/smb.conf/etc/smb.conf である。

もしも、 WINS サーバとして動作させるなら、 smb.conf (5) マニュアルページ) 中のパラメータ、 (wins support を参照) nmbd は、Samba がインストールされるように構成された場所の配下に作成 される、var/locks ディレクトリ中の wins.dat ファイルに WINS データベースを格納する。

もしも、nmbdブラウズマスタとして動作しているならば (local master を参照)、 smb.conf (5) マニュアルページ) 中のパラメータ、 nmbd は、Samba 自身がインストールされるように構成された場所の配下に 作成される、var/locks ディレクトリ中の browse.dat ファイルに ブラウズデータベースを格納する。

シグナル

nmbd プロセスをシャットダウンするために、SIGKILL(-9) を使用することは、 最後の手段以外には、決して推奨しない。これは、名前データベースが 整合性の崩れた状態で残ってしまうかもしれないからである。 正しい方法は、SIGTERM(-15) を nmbd に送ることであり、それ自身が 終了するまで待つことである。

nmbd は SIGHUP を受け取ると、名前の一覧を /usr/local/samba/var/locks ディレクトリ(かまたは、Samba 自身がインストールされるように構成された 場所の配下に作成される var/locks ディレクトリ)中のファイル namelist.debug にダンプすることができる。また、同様に、 nmbd は サーバデータベースを log.nmb ファイルにダンプする。 さらに、SIGUSR1 を送る (kill -USR1 <nmbdのプロセスID>) ことにより、 nmbd のデバッグ・ログ・レベルを上げたり、SIGUSR2 を送る (kill -USR2 <nmbdのプロセスID>)ことによりレベルを下げたりすることもできる。 これにより、低いログ・レベルで動作している間に発生する 一時的な問題を診断することができる。

バージョン

このマニュアルページはSambaバージョン 2.0 一式用である。

SEE ALSO

inetd (8)smbd (8)smb.conf (5)smbclient (1), testparm (1)testprns (1)、と Internet RFC の rfc1001.txt, rfc1002.txt. さらに追加で、 CIFS (昔は SMB) の仕様が 下記のリンクにある。 http://samba.org/cifs/

AUTHOR

オリジナルの Samba ソフトウェアと関連するユーティリティは、 Andrew Tridgell samba@samba.org によって作られた。 Samba は現在 Linux カーネルが開発されているような方法での オープンソースプロジェクトである Samba Team によって開発されている。

オリジナルの Sambaの マニュアルページは Karl Auer によって書かれた。 マニュアルページは YODL 形式(別の、優秀なオープンソースソフトウェアで、 ftp://ftp.icce.rug.nl/pub/unix/ にある)で変換され、 Jeremy Allison samba@samba.org によって Samba 2.0 リリースのために更新された。

バグレポートの提出方法の詳細と、協力してほしい項目のすべてのリストを 得る方法は、samba (7) を参照のこと。

日本語訳

  • 高橋基信 (monyo@samba.gr.jp)