アクセシビリティ環境設定

Reader には、PDF が画面にどのように表示され、スクリーンリーダーによってどのように読み取られるかを制御する環境設定など、視覚障害や運動障害のあるユーザにとって PDF の読み上げのアクセシビリティを高める環境設定がいくつか用意されています。

ほとんどのアクセシビリティ関連の環境設定は、アクセシビリティ設定アシスタントで指定できます。アクセシビリティ設定アシスタントでは、これらの環境設定を指定する方法が画面に表示されます。アクセシビリティに影響を与える環境設定の中には、読み上げ、フォームおよびマルチメディアに関連した環境設定など、アクセシビリティ設定アシスタントで指定できないものがあります。環境設定ダイアログボックスでは、すべての環境設定を指定できます。

環境設定の中には、アクセシビリティ設定アシスタントと環境設定ダイアログボックスにそれぞれ別の名前で表示されるものがあります。Reader のヘルプは、環境設定ダイアログボックスに表示される名前を使用します。

Reader および PDF のアクセシビリティ機能について詳しくは、アドビ システムズ社 Web サイトにあるアクセシビリティのページを参照してください。

アクセシビリティ設定アシスタントを使用したアクセシビリティの設定

  1. 次のいずれかを実行して、アクセシビリティ設定アシスタントを開始します。
    • 文書/アクセシビリティ/設定アシスタントを選択します。

    • (Windows のみ)スクリーンリーダーまたは拡大鏡が起動しているときに、Reader を起動します。

  2. 支援ソフトウェアおよび支援デバイスに対応した適切なオプションを選択します。

    アシスタントは、選択されたオプションに従って、支援ソフトウェアおよび支援デバイスに適した環境設定だけを提示します。

  3. 画面に表示される指示に従います。「キャンセル」をクリックした場合は、Reader では、アシスタントによって設定されたデフォルトの環境設定が使用されます(非推奨)。

環境設定ダイアログボックスを使用したアクセシビリティの環境設定

  1. 編集/環境設定(Windows/UNIX)または Acrobat/環境設定(Macintosh)を選択します。
  2. 環境設定ダイアログボックスのさまざまなパネルで、支援ソフトウェアおよび支援デバイスの環境設定を行います。 UNIX 版 Reader では、「分類」フィールドの「アクセシビリティ」を選択します。

アクセシビリティの環境設定

環境設定のアクセシビリティパネルでの設定

カラーの表示を調整
この環境設定を選択した場合は、一覧からテキストと背景のコントラストカラーの組み合わせを選択できます。また、独自の色の組み合わせを作成することもできます。これらの設定は、アクセシビリティ設定アシスタントの「文書テキストにハイコントラストカラーを使用」オプションに対応しています。

常にページレイアウトスタイルを使用
アクセシビリティ設定アシスタントの「ページレイアウトスタイルを上書き」オプションに対応しています。

常に倍率設定を使用
アクセシビリティ設定アシスタントの「文書のズームを上書き」オプションに対応しています。

タブの順序が明示的に指定されていない場合は文書構造を使用
タブの順序を指定していない文書で、フォームフィールドおよびリンクのナビゲーションを改善します。

テキスト選択カーソルを常に表示
このオプションは、拡大鏡を使用する場合に選択します。この環境設定は、アクセシビリティ設定アシスタントの「テキスト選択カーソルを常に表示」オプションに対応しています。

環境設定の文書パネルでの設定

文書の変更を一時ファイルに自動保存する間隔
この環境設定を選択解除すると、自動保存アクションが無効になります。PDF を保存するたびにスクリーンリーダーや拡大鏡で文書を再読み込みするようにしてください。この環境設定は、アクセシビリティ設定アシスタントの「文書の自動保存を無効にする」オプションに対応しています。

環境設定のフォームパネルでの設定

フィールドのハイライト表示の色および必須フィールドのハイライト表示の色
これらの環境設定は、ハイライト表示された入力可能フォームフィールドに何の色を使用するかを指定します。アクセシビリティ設定アシスタントの「フィールドのハイライト表示の色」オプションと「必須フィールドのハイライト表示の色」オプションに対応しています。

オートコンプリート
Reader がフォームフィールドへの入力を一部自動的に行うので、フォームフィールドへの入力作業が簡素化されます。この環境設定は、アクセシビリティ設定アシスタントのオプションに対応していません。

環境設定のインターネットパネルでの設定

PDF をブラウザに表示
Web ページからリンクされた PDF を別の Reader ウィンドウではなく Web ブラウザで開きます。スクリーンリーダーで文書を読む場合により細かく調整するには、この環境設定を選択しないでください。この環境設定は、アクセシビリティ設定アシスタントの「PDF 文書を Web ブラウザに表示」オプションに対応しています。

環境設定のマルチメディアパネルでの設定

  • サブタイトルがあれば表示

  • 副音声があれば再生

  • 追加のテキストキャプションがあれば表示

  • 音声解説(解説ビデオ)があれば表示

これらの環境設定は、アクセシビリティ設定アシスタントのどのオプションにも対応していません。

環境設定のページ表示パネルでの設定

ズーム
文書の画面上での倍率を設定して、折り返し表示された PDF を、視覚障害を持つユーザが読みやすいように表示します。この環境設定は、アクセシビリティ設定アシスタントの「文書のズームを上書き」オプションに対応しています。

テキストのスムージング
テキストのアンチエイリアスを制御します。テキストのスムージングを無効にして、テキストをくっきりと表示し、拡大鏡を使用したときに判読しやすいようにするには、「なし」を選択します。この環境設定は、アクセシビリティ設定アシスタントの「テキストのスムージングを無効にする」オプションに対応しています。

環境設定の読み上げパネルでの設定

読み上げ順序
文書の読み上げ順序を指定します。読み上げ順序の環境設定は、アクセシビリティ設定アシスタントにも表示されます。
文書から読み上げ順序を推測(推奨)
高度な構造推測レイアウト分析手法を使用して、タグなし文書の読み上げ順序を判断します。

左から右、上から下への順序で読み上げ
ページ上の配置に従って、テキストを左から右、上から下への順序で読み上げます。この方式は、「文書から読み上げ順序を推測」を使用するより高速です。この方式はテキストのみを分析します。フォームフィールドは無視され、テーブルはテーブルとして認識されません。

印刷ストリーミングの読み上げ順序を使用
印刷ストリーミングに記録された順序でテキストを読み上げます。この方式は、「文書から読み上げ順序を推測」を使用するより高速です。この方式はテキストのみを分析します。フォームフィールドは無視され、テーブルはテーブルとして認識されません。


タグ付き文書の読み上げ順序を上書き
文書のタグ構造に基づく読み上げ順序ではなく、「読み方」の環境設定で指定された読み上げ順序を使用します。この環境設定は、PDF のタグ付けに問題がある場合にのみ選択してください。この環境設定は、アクセシビリティ設定アシスタントの「タグ付き文書の読み上げ順序を上書き」オプションに対応しています。

ページまたは文書
この環境設定は、一度にどれくらいの文書をスクリーンリーダーに供給するのかを指定します。PDF がタグ付けされていない場合、Reader は文書を分析し、その構造と読み上げ順序を推測しようとします。長い文書の場合、相当時間がかかることがあります。Reader の設定により、現在表示されているページだけを読み上げるようにし、一度に分析する範囲を文書のごく一部だけにすることができます。この考慮点は、文書のサイズと複雑さ、およびスクリーンリーダーの機能によって変わります。Reader は、スクリーンリーダー、拡大鏡、またはその他の支援ソフトウェアに情報を提供するときに、支援ソフトウェアから直接アクセスできるメモリバッファに情報をロードします。メモリバッファにロードされる情報の量により、Reader が行う、文書を開く、次のページに進む、表示を変更する、コマンドを実行する、といった作業に要する時間が変わります。
現在表示されているページのみを読み上げる
通常、拡大鏡を使用している場合は、これが最適なオプションになります。ソフトウェアが文書の表示されていない部分を処理する必要がなくなるため、パフォーマンスが向上します。Reader は、PDF の現在表示されているページだけをメモリバッファに送り、支援ソフトウェアはそれらのページだけにアクセスします。次のページが表示され、Reader がページ情報をメモリバッファに送るまでは、別のページに進むことができません。したがって、このオプションを選択した場合は、支援ソフトウェアのナビゲーション機能ではなく、Reader のナビゲーション機能を使用して、文書のページ間を移動する必要があります。Reader が現在表示されているページだけを支援ソフトウェアに送るように選択した場合には、環境設定の「デフォルトのページレイアウト」オプションを「単一ページ」に設定することも必要になります。Reader は表示されているすべてのページのページ情報を送るため、支援ソフトウェアは、完全に表示されているページだけでなく、一部しか表示されていないページ(ページの下部や、次のページの上部など)に関する情報を受け取ります。連続ページなど、単一ページ以外のページ表示設定を使用している場合に、次のページを表示すると、支援ソフトウェアは前ページの既に読み上げた部分を正しく追跡できない可能性があります。デフォルトのページレイアウトを単一ページに設定する方法については、PDF の表示に関する環境設定を参照してください。

このオプションは、アクセシビリティ設定アシスタントの「現在表示されているページのみを読み上げる」オプションに対応しています。


文書全体を読み上げる
これは、独自のナビゲーションおよび検索ツールを持つスクリーンリーダーを使用していて、それらの方が Reader のツールより使い慣れている場合に最適なオプションです。このオプションは、アクセシビリティ設定アシスタントの「文書全体を一度に読み上げる」オプションに対応しています。

大きな文書の場合は、現在表示されているページのみを読み上げる
このオプションはデフォルトで選択されており、通常、長い PDF や複雑な PDF でスクリーンリーダーを使用する場合に最適なオプションになります。Reader の設定により、小さい文書は全体を読み上げ、大きい文書の場合はページごとの読み上げに戻るようにできます。この環境設定は、アクセシビリティ設定アシスタントの「大きな文書の場合は、現在表示されているページのみを読み上げる」オプションに対応しています。


文書をタグ付けする前に確認
このオプションを選択すると、Reader では、読み上げ対象のタグなし文書が作成される前に、使用するオプションをユーザが確認できるようになります。大きな文書の場合は特に、タグ付けに時間がかかることがあります。この環境設定は、アクセシビリティ設定アシスタントの「文書をタグ付けする前に確認」オプションに対応しています。

読み上げオプション
読み上げで使用する音声のボリューム、速度およびピッチを制御するには、このセクションの環境設定を指定します。デフォルトの音声を使用するか、オペレーティングシステムに付属の音声を使用するかを選択できます。読み上げ機能によってフォームフィールドの内容を読み上げるには、「フォームフィールドを読み上げる」を選択します。これらの環境設定は、アクセシビリティ設定アシスタントのどのオプションにも対応していません。