Eclipse マルチユーザー・インストール

Eclipse は、マルチユーザー・インストールをサポートするための多くの戦略を提供しています。 各戦略は、特定のシナリオを満足しています。この文書では、これらの戦略を取り上げ、どのような場合に各戦略を使用するのかについて説明します。対象とする読者は、Eclipse ベースの製品を構成して配布するプロダクト・エンジニア、使用する Eclipse ベースの製品をネットワーク経由でセットアップするシステム管理者、およびそのようなセットアップで問題を起こさないプラグインを作成しようとしている開発者です。

最終変更日時: 2005 年 6 月 17 日

基本概念

ロケーション

Eclipse ランタイム・オプション』で解説しているように、Eclipse をマルチユーザー・セットアップでデプロイするというコンテキストで重要となる、3 つの異なるロケーションがあります。

構成の初期化

Eclipse を最初に実行する前は、構成エリアは基本的には空のディレクトリーです。Eclipse セッションを経由して、このロケーションには、Eclipse ランタイムおよびその他のプラグインによって次第にデータが取り込まれていきます。Eclipse ランタイムによって保管されているメタデータ (例えば、プラグインの依存関係、拡張レジストリー) のほとんどは、最初のセッションのシャットダウン中に書き込まれます。インストール済みプラグインのセットに変更が加えられなければ、それ以降のセッション中にデータを書き込む必要はありません。これを構成が初期化された と呼びます。構成がこの状態にある場合は、構成エリアを読み取り専用にすることもできます。 構成エリアを読み取り専用にすると、共用構成などのシナリオで役立ちます (詳細は後述します)。

-initialize コマンド行オプションを指定すると、Eclipse アプリケーションを実行しなくても、構成エリアを初期化できます。初期化手順では強制的にメタデータが作成され、最初の Eclipse セッション中に構成ロケーションに書き込まれます。ただし、構成エリアには、それ以外にも必要が生じた場合にのみ作成されるファイルが保管されます。例を以下に示します。

これらの場合 (およびサード・パーティーのプラグインで導入される可能性のあるその他の場合)、初期化手順は構成エリアを完全初期化するのには十分ではありません。依然として構成エリアには書き込みを行う必要があります。ただし、アプリケーション内のすべての実行パスにアクセスすることで、構成エリアにファイルが作成されてゆくと、次第に書き込みは必要なくなります。この段階を経た上で、構成エリアが完全に初期化され、Eclipse の実行のためにその構成エリアに書き込みアクセスする必要がなくなったといえます。

シナリオ #1 - プライベート・インストール

これは実際には、単一ユーザー・シナリオです。Eclipse インストールは、そのインストールへの全アクセス権限を所有している単一ユーザーが使用します。構成エリアのロケーションのデフォルトは、インストール・ロケーションの下の configuration ディレクトリーです。

このシナリオをセットアップするための手順に必要なのは、ユーザーがインストール・ロケーションに対するすべての権利を所有していることを確認することだけです。

シナリオ #2 - 共用インストール

このシナリオでは、単一のインストール・エリアを多くのユーザーが共用します。インストール・エリアの下の "configuration" ディレクトリーは、製品に同梱されている config.ini (初期化されていません) にとってのホームでしかありません。全てのユーザーは、それぞれローカル側にスタンドアロンの構成ロケーションを持っています。

このシナリオのセットアップでは、通常のユーザーに対してインストール・エリアを読み取り専用にする必要があります。ユーザーが Eclipse を開始すると、構成エリアが自動的にユーザーのホーム・ディレクトリーにデフォルト設定されます。この手段を取らなかった場合、すべてのユーザーが、それぞれの構成エリアとして同一のロケーションを使用することになりますが、これはサポートされていません。

シナリオ #3 - 共用構成

ここでは、ユーザーはインストール・エリアだけでなく、マスター構成エリアも共用します。ユーザーは、依然として、デフォルトでそれぞれ専用の書き込み可能構成エリアを持っています。 ユーザーの専用の構成エリアはマスター構成にカスケード接続されており、マスター構成が完全初期化され、インストールされるプラグインのセットに変更が加えられていない場合は、重要なデータは含まれていません。

このシナリオでは、システム管理者がマスター構成 (通常はインストール・ロケーションの下にあります) を初期化し、インストールおよび構成エリア全体がユーザーに対して読み取り専用となることを保証します。ユーザーが Eclipse ベース製品を共用インストール・ディレクトリーから実行する場合、ユーザーにはインストール・エリアの下の構成エリアへの書き込みアクセス権がないので、ローカルの構成エリアが自動的に計算され、初期化されます。

共用構成の初期化が進行するにつれ、ローカル構成の下にファイルを作成するニーズは減少します。

専用の構成エリア・ロケーションの設定

専用の構成エリアのデフォルトのロケーションは、以下のとおりです。

<user-home-dir>/.eclipse/<product-id>_<product-version>/configuration

ユーザーのホーム・ディレクトリーは、user.home Java システム・プロパティーによって決まります。 製品 ID およびバージョンは、Eclipse インストールの下の製品マーカー・ファイル .eclipseproduct から取得されます。

デフォルト以外の構成エリアは、osgi.configuration.area システム・プロパティーを設定することによって定義できます。このプロパティーはエンド・ユーザーが設定することもできますが、launcher .ini ファイルまたは基本構成ロケーションにある config.ini ファイルのいずれかにこのプロパティーを設定した方が便利です。

更新

共用構成

プラグインは、共用構成にインストールしたり、共用構成から除去したりできます。それらの変更は、次回 Eclipse が実行すると有効になります。共用構成をそれぞれのマスター構成として所有しているユーザーが、Eclipse を実行しないようにする必要があります。

専用の構成

ユーザーは、追加のプラグインをインストールして、自分のローカル構成エリアを変更することができます。 これによって共用構成に変更が加えられることはないので、他のユーザーがその変更に気付くことはありません。共用構成に構成されているプラグインを除去することはできない ことに注意してください。除去したプラットフォームは、次回プラットフォームを開始したときに再インストールされます。