EBView 0.2.1 の使い方

English

須藤 賢一

deep_blue@users.sourceforge.net



1. はじめに
2. 準備
3. 検索
4. セレクションの自動検索
5. 語尾の自動補正
6. マルチメディアデータの再生
7. インターネット検索
8. キーボードショートカット
9. 表示のカスタマイズ
10. リモート実行
11. その他の設定


1. はじめに


EBView は EPWING 形式の辞書ファイルを参照するためのソフトウェアです。以下のような特徴があります。

2. 準備

辞書の入手


EBView を使用するにはまず辞書が必要です。辞書にはCD-ROMで市販されているものや、無料で利用可能なものがあります。市販の辞書の場合には EPWING 形式のものであれば利用が可能です。EPWING 以外でも、EB, EBG, EBXA, EBXA-C 形式の辞書も使える場合があります。また、無料で利用可能な辞書がインターネット等を通じて配布されています。たとえばこのページからは、EPWING 形式のさまざまな辞書を入手することができます。

辞書を入手したら適当なディレクトリに置いてください。市販の CD-ROM を購入した場合、基本的には CD-ROM の内容を丸ごとハードディスクにコピーすることになると思いますが、コピー手順がマニュアルに記載されている場合にはそれに従って下さい。尚、辞書によってはハードディスクへのコピーを禁止・制限している場合もありますので、ご注意ください。

使用する辞書の追加


EBView を起動したらまず「設定」メニューの「辞書の追加と削除」で使用する辞書を指定してください。以下の手順で辞書を登録していきます。

1. 辞書グループの作成

まずは辞書を分類するためにグループを作ります。ダイアログの左側の「グループ名」という入力ボックスに名称を入力し、「追加」ボタンを押します。「英和」「和英」など、辞書の種類で分類すると良いでしょう。

"selection" というグループを作っておくと、セレクションの自動検索の際に、選択されている辞書グループに関係なくそのグループの中の辞書が使われます。


2. 辞書の検索

次にディスクから辞書を検索します。「ディレクトリ」という入力ボックスにディレクトリ名を入力し、「ディスクを検索」ボタンを押します。これにより、指定されたディレクトリの下から辞書が検索されます。検索は、指定した深さまで行われ、catalog もしくは catalogs というファイルが見つかると辞書とみなされます。深さ 0 は指定したディレクトリの中だけ (サブディレクトリは含まない) を検索することを示します。

3. 検索した辞書のグループへの追加

検索した辞書から追加したいものを選択して「追加」ボタンを押します。その際、名前は自由に決めることができます。

以上で準備は完了です。設定はユーザのホームディレクトリの中の ".ebview" というディレクトリに保存されます。

3. 検索


検索を行う手順は以下の通りです。

辞書の選択


辞書選択バーから使用したい辞書グループを選択すると、そのグループに登録されている辞書の一覧がボタンとして表示されます。ボタンの状態により辞書の使用と未使用が切り替わります。ボタンが押された状態はその辞書を検索の際に使用することを示し、押されていない状態はその辞書を検索に使用しないことを示します。尚、ボタンが押せない状態になっているものについては、その辞書が見つからないことを示します。辞書が削除されたか、CD-ROM がマウントされていないなどの原因が考えられます。また、各ボタンに表示する文字数 (バイト数) は設定により変更が可能です。

検索方法の選択


メニューもしくはメイン画面上の検索方法のリストから、実行したい検索方法を選択します。以下が各検索方法の意味です。

検索方法
意味
おまかせ検索
下記の完全一致検索と条件一致検索を自動的に行います。
完全一致検索
入力語に完全に一致した項目だけが検索結果として表示されます。
前方一致検索
入力語で始まる項目が検索結果として表示されます。例えば、"difficult" と入力すれば "difficult" や "difficulty" などにヒットします。
後方一致検索
入力語で終わる項目が検索結果として表示されます。例えば、 "tist" と入力すれば "dentist" や "systematist" などにヒットします。
条件検索
複数のキーワードを指定して検索する方法です。例えば、 "grow" と "up" の2つを検索語として指定することで、"grow up"にヒットします。
複合検索
複数のキーワードを指定して検索しますが、各キーワードにはあらかじめ意味がつけられています。キーワードを一覧の中から指定することも可能です。
全文検索
辞書の中から、指定した検索語を本文の中に含んでいる項目を全て検索する方法です。辞書の中を最初から終わりまで検索するため、検索には時間がかかります。
インターネット検索
辞書の中からではなく、インターネット検索を行います。
メニュー
辞書のメニューデータ (通常は使用方法は凡例など) を表示します。辞書によってはメニューデータがない場合もあります。
著作権表示
辞書の著作権データを表示します。辞書によってはない場合もあります。

検索語の入力


メイン画面上部のエントリボックスに検索したい語句を入力します。おまかせ検索や条件検索を行う場合には、複数の語をスペースで区切って指定することができます。いったん検索を終えると、検索語が選択状態となります。続けて別の語句を検索する場合には、わざわざ前の語句を消さなくてもそのまま入力するだけで OK です。

検索結果の表示


検索結果の一覧が左側に表示されますので、参照したい項目をマウスで選択してください。選択した項目の内容が画面右に表示されます。検索結果一覧では、ショートカットキーを使って上下に移動することも可能です。尚、検索結果が多すぎる場合には、設定した個数までしか表示されます。いくつまで表示するかはメニューの「設定」→「その他の設定」で指定が可能です。

ジャンプ


表示内容のうち、青く表示されている部分は別の箇所への参照になっていることを示します。その上にマウスカーソルを持って行くとカーソルの形が変化します。その状態でマウスの左ボタンをクリックすることで参照先にジャンプすることができます。また、一度表示した内容は表示履歴に格納されていますので、「戻る」「進む」ボタンで履歴を前後に移動することができます。

内容選択


表示内容をマウスで範囲選択することができます。文字列を選択するにはドラッグ操作を行うか、ダブルクリックします。ダブルクリックした場合にはマウスの位置の前後の同種の文字が選択されます。たとえば "このソフトウェアは..."という文章の中で"ウ"の位置でダブルクリックしたとすると、"ソフトウェア"が選択されます。同様に、"辞書の追加と削除"という文章の中で"追"の位置でダブルクリックしたとすると"追加"が選択されます。

選択した内容は X のセレクションに格納されますので (※セレクションの自動検索が OFF の場合のみ)、他のアプリケーションのウィンドウでマウスの中央ボタンを押すことでペーストが可能です。

マウスの右ボタンを押すとメニューが表示されます。「選択した語を検索」を選択すると、選択された語をキーワードとして検索を行います。 また、「クリップボードにコピー」を選択すると、選択した内容がクリップボードにコピーされます。クリップボードにコピーした内容は、通常は Ctrl-v 等で貼り付けることができますが、貼り付け先のアプリケーションによります。

4. セレクションの自動検索


セレクションの自動検索とは、他のアプリケーションで選択されている文字列を自動的に検索するものです。たとえば、Web ブラウザなどで英語の文書を読んでいる際にわからない単語が出てきたら、その単語をマウスで選択することで自動的に検索が行われます。 一般に、セレクションの自動検索を行う場合には、あまりたくさんの結果が出ない方が良いでしょう。有効にする辞書の数を少なめにし、検索方法としては「完全一致」を使うのがお薦めです。

"selection" という辞書グループを作成しておくと、現在選択されている辞書グループに関係なくそのグループの辞書を使って検索が行われます。

検索した結果は、通常の検索と同様にメインウィンドウに表示する他に、マウスカーソルがある位置にポップアップ表示させることもできます。ポップアップウィンドウに表示するには「セレクションの自動検索」と「ポップアップ表示」の 2 つのトグルボタンを有効にしてください。ポップアップウィンドウ上でのマウス操作は以下の通りです。

左ボタン ポップアップウィンドウを閉じる。
中央ボタン 前の候補を表示する。
右ボタン 次の候補を表示する。

なお、むやみにポップアップウィンドウが開くのを防ぐため、一度検索した文字列を続けて選択しても検索が行われません。同じ語をもう一度検索したい場合には、いったん別の語を選択してから再度その語を選択してください。

5. 語尾の自動補正


dictionaries のように、語尾が変化している単語を検索する場合には、元の単語である dictionary で検索する必要があります。キーワードを逐次入力して検索している分には利用者が判断して正しい語を入れることになりますが、上述のセレクションの自動検索の場合にはこれでは不都合です。そこで、語尾が変化している単語を自動的に元の単語で検索することができるようになっています。この機能を語尾補正と呼びます。EBViewでは、語尾が特定のパターンにマッチしたら元の形を試すという方法をとっています。したがって、語尾補正を有効にすると検索に余計に時間がかかるようになります。

語尾補正を行うかどうか、どういうパターンの時にどう補正するのかはカスタマイズすることができます。また、入力した単語にマッチしない場合にのみ語尾補正を行うように指定することも可能です。あまりたくさんのパターンを指定すると検索に時間がかかるようになりますので注意してください。 なお、語尾補正の設定ウィンドウでは、ドラッグ&ドロップでパターンの順序を変更することが可能です。

バージョン 0.1.6 からは日本語の語尾補正も行うようになりました。例えば、「出られない」の場合、「出る」で検索されます。日本語の語尾補正も英語と同様の仕組みですが、語尾を補正して検索してもひとつもマッチしなかった場合には、さらに検索語から平仮名を除いた部分で再度検索を試みます。尚、現在のところ日本語の語尾補正のパターンについてはカスタマイズできません。

6. マルチメディアデータの再生


EBView では音声や動画などのマルチメディアデータをサポートしています。音声や動画データへのリンクはコンテンツ中で緑色で表示され、その上にマウスカーソルを持っていくとカーソルの形が変わります。その状態でマウスの左ボタンをクリックすることでマルチメディアデータの再生が始まります。

再生には外部プログラムを利用しますので、マルチメディアデータを含む辞書を使う場合には外部プログラムを指定する必要があります。メニューの「設定」→「外部プログラム」で音声と動画を再生するための外部プログラムをそれぞれ指定してください。たとえば音声であれば "playwave %f" などのように指定します。%f は必ず必要です。音声や動画のデータはいったん一時ファイルに格納されてから外部プログラムで再生されます。%f の部分はこの一時ファイル名で置き換えられます。

7. インターネット検索


インターネット検索とは、EBView の中から Web ブラウザを呼び出し、インターネットの検索エンジンを使って検索を行う機能です。手持ちの辞書では情報が見つからなかった場合などに使います。また、同じキーワードでいくつかのサーチエンジンで検索する場合にも活用できます。

検索を行うには、検索方法として「インターネット検索」を選択します。画面左側に検索サイトの一覧が表示されますので、サイト名を選択したのち、キーワードを入力してエンターキーを押すか検索開始ボタンをクリックします。検索サイト名をマウスでダブルクリックしても検索が開始されます。検索サイト名の部分でマウスの右ボタンを押すとメニューが表示されますので、ここからその検索サイトのホームページを開くこともできます。細かな検索オプションを指定する必要がある場合など、ホームページを開いた方が良い場合があります。

何も起きない場合には、ブラウザの設定が正しいか確認してください。使用するブラウザは「設定」メニューの「外部プログラム」で "gnome-moz-remote %f" のように指定します。%f は必須で、この部分が URL で置き換えられます。

検索エンジンのリストは「設定」メニューの「検索エンジン」で設定します。検索を行うための URL は、「前につける文字列」「検索語」「後ろにつける文字列」の順で文字列を結合したものになります。検索語を複数指定した場合には、各検索語は「結合文字列」で結合されます。その際、検索語は「文字コード」で指定したコードに変換されます。尚、検索エンジンとして使用できるのは "get" メソッドだけです。"put" メソッドは使用できません。

尚、検索サイトによっては「英辞郎 on the Web」のように、ブラウザによるトップページからの検索以外を禁止している場合もありますので、ご注意ください。

8. キーボードショートカットの利用


使用する辞書グループの切り替えや、検索結果一覧中の項目の移動など、キーボードに機能を割り当てることができます。同じ機能に複数のキーを割り当てることも可能です。デフォルト状態では以下のキーが割り当てられています。

キー
割り当てられている機能
F1 おまかせ検索
F2 完全一致検索
F3
前方一致検索
F4
後方一致検索
F5
条件検索
F6
複合検索
F7
全文検索
F8
インターネット検索
Return 検索を開始
Escape 検索語のクリア
Ctrl + p
前のヒット
Ctrl + n 次のヒット
Ctrl + c
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Ctrl + h
ヘルプの表示
Ctrl + q
プログラムの終了
Ctrl + Up
前の辞書グループ
Ctrl + Down
次の辞書グループ
Ctrl + 数字
辞書Xの切り替え
Alt + Left
ヒストリを戻る
Alt + Right
ヒストリを進む

割り当てはメニューの「設定」→「ショートカット」で行います。キーボードに機能を割り当てるには、キーの組み合わせを押した後、割り当てたいコマンドを一覧から選択して「追加」ボタンを押します。

9. 表示のカスタマイズ


画面にあるもののうち、以下のものは画面から消したり再表示したりすることができます。

表示/非表示を切り替えるには、「表示」メニューから該当する項目を選択してください。また、コンテンツ表示ウィンドウ上でマウスの右ボタンをクリックするとポップアップメニューが表示されます。ここから該当する項目を選択することで非表示のものを表示することができます。メニューバー自体を非表示にした場合にはこの方法でしか表示状態に戻すことができません。

10. リモート実行


既に起動している EBView に対して、コマンドを送って処理を実行させることができます。ウィンドウマネージャーのショートカットに登録したり、他のプログラムから呼び出す場合などに使います。EBView 本体に対して指示を送るためのコマンドが "ebview-client" (以下クライアントと呼ぶ) です。実行させたい内容をクライアントのパラメータとして渡すと、EBView 本体側で処理が実行されます。EBView 本体が起動していない場合にはクライアントから EBView が起動されます。パラメータの形式は以下の通りです。

ebview-client --search 検索語
検索語で指定した語を検索します。複数の語をスペースで区切って指定することができます。

ebview-client --selection
Xセレクションの検索を1度だけ行います。

ebview-client --popup
Xセレクションの検索を1度だけ行い、結果をポップアップウィンドウに表示します。

11. その他のカスタマイズ

フォント

メニューの「設定」→「フォント」から表示に使用するフォントを指定することができます。外字フォントについても指定したフォントサイズに近いサイズの外字が使用されますが、全体的なバランスからは 16 ポイントくらいがお勧めです。辞書によっては16ドット以外の外字データを持っていないものがあります。

尚、エンコーディング毎に異なるフォントを指定したい場合には、複数のフォント名をカンマで区切って指定してください。

ポップアップウィンドウのサイズ

ポップアップウィンドウのサイズは変更が可能です。ポップアップウィンドウは基本的にはマウス右下に表示されますが、画面からはみ出てしまう場合には画面内に収まるように位置が調整されます。